『戦略がすべて 』──本書じたいが、コモディティ化(著者の使用法で、「汎用品化」)(笑)(★)

『戦略がすべて』(瀧本哲史著、2015年12月刊、新潮新書)

 タイトルに偽りありということは、レビュアーの多くの方々が書かれている。まさにそのとおりである。普通、こういうタイトルからは、なにか、これから生きる上で、あるいは、自分の仕事上で、戦略のたて方などが示唆されていると想像されるが、「残念でしたー、そんなこと、どこにも言ってないよ~!」と、著者は舌をだしてほくそ笑んでいることだろう。だいたい、新潮新書の多くは、このテの本が多いから、よく調べてから買った方がいいと思います。まあ、私はブック・オフ行きの箱に放り込むだけですが。
 本書は、頭デッカチの「自称勝ち組」著者が、資本主義社会を、「自称勝ち組」の視点から分析しただけの本である。本書自体が、このなかで言われている、陳腐化した内容の「コモディティ化」している、ことに、知らぬは著者ばかりなり、か(笑)。
 こういう資本主義自称勝ち組のなれの果てがどうなったかは、マイケル・ムーア監督の映画『世界戦略のススメ』を見ればわかる。「儲ける仕組み」からはじき出された人々(まあ、著者が小馬鹿にしている教育も資本もない労働者ですが)を大切にしている国々がいかに豊かな生活を謳歌しているか、また、「儲ける仕組み」に囚われたアメリカが、いかにひどい体たらくになっているか。
 ま、このヒトが考えるほど、世の中のメカニズムは単純ではない。しかし、レビューがすでに37も付いているところを見ると、ある程度、売れていると見た。題名と目次(も、ガセである。たとえば、「スピルバーグは優秀な編集者ではない」の項目など、確実に質の高い作品を撮り、一作とてコケてないスピルバーグと、全然畑違いのスティーブ・ジョブズを比べてみたって、いったいなんのイミがあるというのだ。まったくテキトーな一章である)の張りぼて商法がある程度は効きましたかね。
 どーでもいいが、コモディティとは、マルクスの『資本論』では、ただの「商品」のことじゃん。
 いずれにしろ、こういうヤカラにかぎって、Excelもまともに使えないに違いない。



戦略がすべて (新潮新書)
新潮社
瀧本 哲史

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